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宇宙を安心して使い続けるために – 直面しているデブリという課題

Star Signal Solutions株式会社
取締役 秋山祐貴様 インタビュー

貴社が向き合っている社会課題としてのデブリとは一体どういうものなのでしょうか?

秋山:宇宙空間には、衛星やロケットの部品などの「デブリ」と呼ばれる人工物が数多く存在し、秒速3~8kmの猛スピードで地球の周りをまわっています。宇宙空間はとても広いのでデブリとは衝突しないと思われがちですが、実際には衛星にデブリが衝突したり、衛星同士が衝突して新たなデブリが生まれる事例も起きています。
そのため、衛星運用者は本来のミッションとは別に、日常的にデブリの「衝突回避」を行わざるを得ない状況にあります。

地球から比較的近く、多くの人工衛星が集中する低軌道と、通信や放送に使われる重要な衛星が運用されている静止軌道では、デブリの挙動や前提条件 は異なりますが、いずれもリスクの高い領域として問題になっています。

その中で、課題感はどこにあるのでしょうか?

秋山:私たちが向き合っている大きな課題は、「今、見えているデブリが全てではない」という点です。
1cm以上のサイズのデブリが人工衛星に衝突すると衛星はかなりのダメージを受けるといわれています。最悪の場合、衛星は全損し、新たなデブリが生まれてしまいます。 統計的には1cm以上のデブリは約120万個存在すると言われていますが、実際に軌道まで把握できているのは数万個程度です。つまり、9割以上は存在を認知できておらず、避けようにも避けられない状況があります。

また、安全保障の観点 もあります。
現在、人工衛星やデブリの接近に関するアラートの多くは米軍が無償で提供してくれて います。彼らは世界中に観測網を持っていて、「近づく」という事象が発生した時に、「どの物体が、どのくらい近づくのか、どのくらいの確率で当たりうるのか」を教えてくれています。
ただ、国際情勢の変化などによって、いつまでも同じ形で提供され続けるという保証はありません。そういった意味でも、自国内で観測・解析できる能力を持ち、主体的に状況を把握できる体制を整えておくことが大切だと考えています。

こうした課題に対して、どのような取り組みをされているのでしょうか?

秋山:一つ目は、見えていない小さなデブリを「見える化」することです。

光学望遠鏡を用いて撮影した宇宙空間の画像から小さなデブリも含めてたくさんのデブリを検出し、それらの軌道を解析します。こうして得られた情報を観測データや軌道データとして整理することで、これまで見えていなかった小さなデブリも含めて、「どこを飛んでいるのか」が分かる状態をつくっています。


二つ目は、デブリを回避するための判断を支援するアプリケーションの提供です。

衛星運用者にとって重要なのは、「デブリがどこにいるか」だけでなく、「どう避ければよいか」という具体的な判断ができることです。私たちは、運用者がミッションを遂行しながら、確実にデブリを回避できるような情報と判断材料を提供しています。
米軍のアラートは非常に有効なのですが、「危険な接近がある」という通知が届いたあと、どのように回避するかは各運用者に委ねられています。そこを支えるのが私たちの役割です。

貴社ならではの強みはどこにありますか?

秋山:私たちの強みは、JAXAベンチャーとして、JAXA時代に培った技術と現場経験に、独自の技術開発を重ねてきた点にあります。技術と現場感がしっかり結びついていることが特徴です。

光学写真から暗い物体を見つけ出す技術は、特に小さなデブリを捉えるうえで重要です。大きな物体は比較的明るく写るため検出しやすいのですが、小さく暗いものはノイズに埋もれてしまいます。ここを見極められるのは、長年の解析ノウハウがあるからこそだと考えています。

また、デブリ回避のアプリケーションについても、単なる理論ではなく、実際の衛星運用を前提としたサービス設計ができる点が強みです。現場を知らなければ「やってはいけない避け方」もあり、その感覚は経験則としてしか身につきません。こうした現場感を含めた設計が、他社との差別化につながっていると感じています。

この業界はSSA(宇宙状況把握)と言いますが、アメリカやヨーロッパが先行していて、残念ながら日本は5年〜10年遅れている状況です。日本でSSAを本業としてやっている会社はかなり限られていて、私たちが最初に始めたというレベルですから、時間軸的にも一歩リードしているという自負があります。

(写真中央:取締役 秋山祐貴様 写真右:代表取締役 岩城陽大様)

宇宙業界を志す人たちに向けてメッセージをお願いします。

秋山:私たちが取り組んでいるのは、マスコミなどで皆さんがよく見かける華やかな宇宙開発とは少し異なる仕事です。宇宙ロケットの打ち上げの成否や、衛星の運用についてはフォーカスされがちですが、デブリの衝突リスクやそのリスクをどう回避するかという点については、まだあまり知られていないのが現状だと思います。
宇宙を題材にしながら実社会のためになる地に足のついたビジネスを展開しているので、そういったところに魅力を感じていただける方と一緒に働きたいですね。

私たちはまだ創業初期のフェーズなので、ある意味なんでもできる状況です。なんでもできるからこそ、チーム一丸となって、本当に役に立つものを作っていきたいと考えています。
現実に役立つ仕事に挑戦したい方に、ぜひ知っていただけたら嬉しいです。

企業情報

会社名Star Signal Solutions株式会社
代表者代表取締役 岩城 陽大
拠点〒103-0014 東京都中央区日本橋蛎殻町1丁目29‐9 ネオテック水天宮​ビル4階
事業開始2023年10月17日
事業内容観測サービス/軌道解析/衝突回避ナビゲーション/宇宙物体データベース

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前編では、日本の宇宙産業が科学研究中心から産業化へと転換を遂げる過程と、異業種からの人材参入を促進する『宇宙スキル標準』の意義について紹介しました。宇宙ビジネスには産業人材が決定的に不足するなか、異分野からの転職環境整備が進み、転職しやすい環境が整いつつあることがわかりました。

後編では、実際に宇宙産業への転職支援を行っているインバイトユーの視点から、現在の日本の宇宙産業の実態と、転職を検討する方への具体的なアドバイスを聞いていきます。

※本記事は、宇宙ビジネスメディア宙畑とのコラボ企画で掲載されています。ぜひ前編も合わせてご覧ください。

秋山教授は2018年から2024年まで内閣府宇宙政策委員会の専門委員として、日本の宇宙政策の中核を担ってこられました。

そして浅野さんはリクルートエージェント(2012年にリクルートキャリアとなり、現在は株式会社リクルートに吸収)の初期に新卒入社後、2012年からはリクルートキャリア、コーポレート部門担当上席執行役員を歴任するなど、企業人事のスペシャリストです。また、河辺さんはご自身も技術職出身でありながら技術系人材紹介会社の立ち上げに携わり、そのトップとして技術者専門の人材紹介事業を牽引した経験もある、“エンジニア”の転職を知り尽くした人物です。

(1)宇宙人材エージェントが見る今の日本の宇宙産業

宇宙戦略基金の運用が始まり、日本の宇宙産業は本格的に始動しています。同基金からの投資により、すでに複数の宇宙ベンチャーが大型の資金調達を実現し、技術開発の加速と量産体制の構築が同時進行で進められています。現在、宇宙スタートアップは100社を超え、様々な事業フェーズの企業が混在する活況を呈しています。

2040年には世界市場が270兆円規模に成長するという予測のもと、日本でもまさに大量採用時代の到来を迎えているのです。

しかし、この急成長の裏側には多くの課題が存在します。それは、採用要件の不明確さと事業フェーズによる需要の違いでした。

河辺真典執行役員(以下、河辺):「企業の事業フェーズによって求められる人材も大きく異なります。すでに200~300人体制で開発が分業化され、設計標準が確立されつつある企業と、まだ50~100人未満で基礎設計を実験と並行して進めている企業では、採用ニーズが全く違ってきます。

前者の場合は、ある程度自分の専門領域と要素技術を持ち、組織的な開発体制の中でその専門性を活かしてもらう人材を求めています。一方、後者の段階では、ジェネラリストでありながらスペシャリスト的な知見も持つ、いわば『ジェネラリスト・スペシャリスト』のような人材が必要になってきます。

宇宙産業では、さまざまなフェーズの企業が混在していますが、このフェーズの分析ができるようになったのは、私たちにとって大きな進歩でした」

浅野和之代表取締役社長(以下、浅野):「私たちがこの事業を始める前は、宇宙業界は人材不足が深刻だと聞いていたので、正直なところ「事業の立ち上がりは早いだろう」と思っていました。しかし実際に始めてみると、予想以上に人材紹介エージェントとしては難易度が高い業界だと気づきました」

事業を開始した当初は、すべての情報が混在した状態で「なぜこの人が不採用なのに、この人は採用されるのか」「非常に優秀だと思って紹介しているのに、なぜ書類選考で落ちてしまうのか」といったことが起こることもあったと振り返ります。

浅野さんと河辺さんは、何度もヒアリングを重ね、また業界をつぶさに観察し、分析しました。これを可能にしたのは、業界の人たちが、他者を受け入れる柔軟な姿勢があったからと話します。

浅野「私たちのような外部の人間がこの業界に参入することに対して、想像以上にウェルカムな雰囲気がありました。宇宙業界の中心的な方々は、新しい人材や異業種が育んできた技術や経験が、宇宙産業を活性化させると理解していますし、信じています。ベンチャー企業のトップの方々も、自分たちだけでは限界があることを認識しており、様々な分野の人たちとの連携を積極的に求めていたんです」

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浅野さんのWhy Spaceインタビュー

(2)人材エージェントのプロが教えるスタートアップのフェーズ別人材戦略

宇宙スタートアップは100社を超えていますが、ひとくちにスタートアップといっても、その発展段階は各会社によって大きく異なります。浅野さんは、これまでの豊富な経験をベースにスタートアップの企業マネジメントフェーズを人数規模に応じて3段階に分類して説明します。

浅野:「フェーズ1は、起業の初期段階で、おおむね30名までの体制の会社です。この段階では、基本的に構想やアイデアを持つトップと、その考えを理解している仲間による暗黙知がベースとなります。大学の教授とその教え子といったような人間関係から起業するケースも多く、転職する場合は“共感”が重要になります」

まだ外部から大量の人材を採用する必要はなく、主に必要となるのは、コア技術の研究開発を担う研究者、初期プロトタイプを制作する技術者、そして事業戦略を描くビジネス開発担当者です。

この段階では、トップの思いに共感し、同じ方向を向いて一緒に走れる仲間が必要なのです。明確な役割分担よりも、お互いの考えを理解し合いながら進めていくチームワークが求められます。

フェーズ2は、会社が大きくなる過程の成長期で、会社の規模は50~100人、もっとも困難といえる段階です。それまでの人間関係で事業が進められていたところから、組織が分化し始めることで、マネジメント体制の構築が必要になる。会社が成長するにあたり、もっとも困難な時期といえるでしょう」

トップの指示だけで全てが連携していた状況から、中間管理層を介したコミュニケーションが必要に。この段階では、プロジェクトマネージャー、品質保証担当者、量産準備のための製造技術者、そして組織運営を支える管理部門の人材が必要になってきます。

それまでトップの考えは、人数が少なければ容易に共有できていましたが、急に情報共有するのが難しくなります。

新旧の人間関係がぎくしゃくすることを防ぐためにも、組織としての仕組みづくりが必要になります。この段階では、自立性と独自性を持ちながらも、組織の方向性を理解して動ける人材が求められます」

既存の大企業のように明確な業務分担や標準化されたプロセスは存在しないため、不確実性の中で、自分で判断し行動できる人材、また状況に応じて柔軟に対応できる能力が重要になります。

浅野:「フェーズ3は、社員が100人を超えてくる拡大期です。分業体制が確立されて、徐々に量産できるような準備に入っていきます。この時期になると、より専門性の高い人材や大量の人材が求められます。設計部門では機械設計、電気設計、ソフトウェア開発の専門家が、製造部門では工程管理、品質管理の専門家が、営業部門では技術営業、マーケティング、カスタマーサポートの専門家が必要になってきます」

この段階では、他の産業で培った専門性の高い知見を宇宙分野に応用できる機会も増えてきます。一般的な製造業経験者にとっても参入しやすい環境が整います。

そして、宇宙産業は今どのフェーズの企業が多いかというと。

浅野:「SBIRや宇宙開発基金などの支援を得て、採用が活発になってくるフェーズ2の企業は多いと思います。そこを超えて株式上場を実現した会社も複数社あります」

(3)350人超と面談。1年間で早くも10名を超える転職者

ここまで、日本における宇宙産業の歴史と展望、そして産業の実態を紹介しました。では、実際に宇宙産業に転職する方はどのような方が多いのでしょうか。

インバイトユーは設立からわずか1年で、約350名の宇宙産業転職候補者と面談を実施し、すでに10名を超える転職を実現できているとのこと。毎月約1名のペースで転職を成立させています。

河辺:「転職される方の多くは、大学時代に航空宇宙工学を学んだものの、当時は求人がなくて他業界に就職された方々です。また、幼少期からの宇宙好きで、求人の存在を知らなかった層の方も多くいらっしゃいます」

実は、大学時代に航空宇宙工学を学んだものの、他の業界に就職をするというケースは少なくありません。

例えば、秋山教授が20年間実施してきた共同ロケット実験の参加者です。

秋山演亮教授:「私はこれまでに宇宙教育(大学生共同実験や高校生が参加する宇宙甲子園)を通じて、大学生・大学院生だけで20年にわたり1万人以上を育成の携わりました。その参加者のうち、宇宙関連産業に就職したのは1000~2000人。残りの8000~9000人は他業界で活躍していますが、これらの人材は宇宙への関心と基礎的な知識を持つ貴重な人材です。」

ちなみに、これまでのインバイトユーにおける具体的な転職者のパターンとしては、自動車業界のエンジン開発エンジニアがロケットエンジン開発に、建築・建設業界の構造解析エンジニアが衛星構造設計に、電機メーカーの電源システム開発エンジニアが衛星電源システム開発に転身するケースがあったそうです。

とはいえ、転職はそう簡単にできることではありません。

河辺:「エンジニアの方々は、基本的に慎重な傾向があります。技術の専門家である一方で、経営や事業リスクについての情報接触が少ないため、不安を感じやすい面があるんですね。また、受け入れる側の宇宙ベンチャーも、多くがまだ事業が確立していないのもネガティブに働くことが多い。

給与面は安いと思われていますが、決して基本給は他業界に劣るものではないんです。ですが事業収益に基づく賞与等の上乗せが少ないことが課題になっています」

さらに詳しく分析すると、エンジニアが宇宙業界への転職を躊躇する理由として、技術的なチャレンジへの不安よりも、むしろビジネスモデルの不透明性や市場の将来性への疑問が大きいことがわかります。多くのエンジニアは「技術的には面白そうだが、本当に稼げる産業になるのか」という経営的な視点での懸念を抱いているのです。

現在の宇宙産業は、長く宇宙産業に携わってきた大手と、ベンチャー企業の二極化が進んでおり、中間的な規模の企業が少ないことも、転職を検討する方にとっての不安要因となっています。

(4)インバイトユーが宇宙特化の人材エージェントだからこそできること

また、一般的な人材紹介会社にとっても、宇宙産業は参入が難しい市場でもあると浅野さんは話します。

浅野「一般的な人材紹介会社が強いのは、営業やSEといったひとつの職種での大量採用です。同じような要件のなかで、画一的なルールのなかで人材を紹介していけばいい。

しかし、宇宙産業の場合は要望される職種が多様です。機械・電気・制御・通信など非常に幅広い分野の専門性が必要で、かつ各企業が求めるのは1~2名程度。向き合うには相当な覚悟と、時間が必要です」

その覚悟は、1回の面談に1時間から1時間半という時間をかけるということからもわかります。その時間で、宇宙産業の歴史的変遷から現在の位置づけ、技術的な親和性まで、包括的な説明を行っています。

河辺「インバイトユーの魅力は、宇宙の話がたっぷりできることだと思いますね。宇宙専門の人材紹介会社だとわかっているからこそ、宇宙産業の現状を聞きたいという方が来られるわけです。ですから最初の20分から30分は、こうしたお互いの宇宙における情報をディスカッションすることに使っています。こうしたところも私たちのメリットといえるでしょうね」

このアプローチを経て、求職者は単なる転職先としてではなく、新しい産業の創造に参加する機会として宇宙産業を理解できるようになり、自身の持つ経歴や技術などへと話が展開していくことになるのです。

ここで生かされるのが「宇宙スキル標準」だと河辺さんは続けます。

河辺:「『宇宙スキル標準』のフレームを理解することで、求職者の方に対して論理的な説明ができるようになったことは大きいですね。ロケットの構造設計と、衛星の構造設計では求められる技術も知識も変わってくる、そんな情報をゼロから調べて、理解して、説明するまでに、それこそ何年かかるかわかりません。『宇宙スキル標準』も、これからもっとブラッシュアップされることを期待しているんです。宇宙産業に転職する際のバイブルのようになったら、私たちのサービスも、技術的なフレームワークの提供から、企業の風土や雰囲気、事業フェーズなどに応じたアドバイスへと移行してくことになると思います」

2030年に約170兆円の市場に発展するとされる宇宙産業。となれば、宇宙産業は自動車産業と同等規模になります。今後10年から15年で、宇宙産業が当たり前の仕事のひとつになると考えられます。

だからこそ今が参入のチャンスといえるでしょう。産業の成熟期に入ってから参加するのではなく、産業創造の過程に参加することで、技術者として、そして産業人として、非常にやりがいのある経験を積むことができるのです。

河辺:「宇宙に少しでも興味があれば、ぜひ一度、話をしませんか? 宇宙産業の将来に懐疑的な方も大歓迎です。転職する、しないの判断は、まずは業界を理解していただくことが大前提ですから」

浅野:「私たちが宇宙業界に参入したとき、リレーションもネットワークもない状況でした。しかし、実際に多くの方とのコミュニケーションを得て感じるのは、閉じた世界ではないということ。だからこそ、宇宙産業に特化したサービスに、“あなたを招く”という意味の『インバイトユー(invite you)』という名前をつけました。私たちのサービスを通して、この産業やこの業界で働く人たちを、より身近に感じてもらいたいですね」

宇宙産業は現在、まさに変革期の真っ只中にあります。2030年頃には本格的な事業化が実現し、成功事例の蓄積により一般的な転職の選択肢として定着することが予想されます。

浅野:「宇宙産業への参入は、単なる転職ではありません。新しい産業の創造に携わる、歴史的な機会なのです。10年、20年後に振り返ったときに、『あの時代に宇宙産業の発展に関わることができて良かった』と思える日がくるかもしれないと考えるとワクワクしませんか」

宇宙産業への就職は、もはや夢物語ではありません。

宇宙空間は私たちの生活を支える重要なインフラをつくる現場であり、経済成長の原動力として、確実に社会に根付いています。異業種からの参入障壁も下がり、転職を支援する専門的なサービスも整備されました。今後さらに市場が拡大し、技術が標準化されていけば、より多くの人材にとって魅力的な選択肢となることは間違いありません。宇宙という新しいフロンティアで、あなたの技術と経験を活かすチャンスが到来しています。

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## 出典
内閣府宇宙開発戦略推進事務局「宇宙スキル標準について」(2025年2月)
防衛省「宇宙領域防衛指針」(2025年7月28日)
経済産業省「宇宙基本計画(令和5年6月改定)」

宇宙スタートアップで働くって実際どう?2035年に250兆円の市場規模/働き方や求人、年収についても解説

こんにちわ。インバイトユー編集部です。
弊社代表の浅野が出演した動画公開のお知らせです。
今回は、One Work株式会社の運営するYouTubeチャンネル「スタートアップキャリアch」で動画がアップされました。

宇宙スタートアップで働くって実際どう?
2035年に250兆円の市場規模/働き方や求人、年収についても解説

この動画では、宇宙関連スタートアップ企業での「働き方・キャリア・採用環境・年収水準」など実践的・具体的なトピックを取り上げています。
特に、2035年に市場規模が250兆円に達する予測がある宇宙ビジネス市場のリアルな現場のお話しによって、宇宙ビジネスや宇宙スタートアップというテーマをより身近に、具体的に感じていただくことを意識しました。

弊社サービス紹介

弊社は、宇宙ビジネス専門の転職支援サービスおよび採用支援サービスを行なっています。
宇宙関連企業との独自ネットワークを活かし、まだ多くの人材に認知されていない“宇宙で働く”という選択肢を転職をお考えの方々に提供しています。
動画をご覧いただき、少しでも話を聞いてみたいなとお感じになられたら、ぜひお気軽に無料相談をご活用ください。


宇宙を“遠い世界”から日常のインフラへ

株式会社Synspective
執行役員ヤマトテクノロジーセンター長 衛星システム開発第二部ゼネラルマネジャー
森岡 肇様
衛星システム開発第二部マネジャー
内山 航様
インタビュー

衛星はなぜビジネスになるのでしょうか?

森岡:衛星は、測位衛星(GPSなどの距離測定)、通信衛星(電話など通信関連)、観測衛星の3分野に分かれます。私たちはその中の「観測衛星」です。観測衛星には光学衛星とSAR衛星があり、光学衛星は搭載カメラで色から対象を識別します。一方、私たちが扱うSAR衛星はレーダーでマイクロ波を照射し、その反射を拾って形状を観測します。そのため、昼夜や天候に関係なく24時間観測できます。

現在は世界的に、小型・超小型衛星で観測データを取得し、販売するビジネスモデルが広がっています。撮影データの主な顧客は、安全保障関係(防衛省、国土交通省など)、環境問題対策、災害観測です。SAR衛星は、洪水時の現場状況を昼夜・天候問わず迅速に把握できるほか、平時でも地盤沈下や地滑り、橋のたわみ、盛り土まで検出できます。

内山:途上国の都市開発では経済発展の様子も見られます。道路整備状況なども把握できるので、防災だけでなく、地方都市や新興国の経済発展を探るデータとしても需要があります。

衛星を大量に打ち上げる必然性や意義を教えてください。

森岡:複数機の衛星が同じ地点を撮像し、その差分を比較することで変化がわかります。だから、同じ場所をある程度の頻度で観測できる体制が必要なんです。1機だけでは全然足りないので、複数機を配置して、定期的に同じ地点を撮像できるようにします。そうすれば正しい比較ができます。

そして、量産体制は、部材パートナー企業の皆さん、設備治具制作企業の皆さん、人材支援企業の皆さん、検査や設計支援企業の皆さんなど、我々に関係するいろいろな方々の協力と支援が必要です。宇宙ビジネスは衛星を作る会社と関連する企業が一緒に産業の底上げをしていくことに意義があります。

Synspective社(SAR衛星)の強み・競合優位性はどういったところでしょう?

森岡:SAR衛星はフラットアンテナ方式を採用しており、広い範囲を歪みなく撮影できます。SAR衛星では、画像の端部分も歪が少ない点が強みで、例えばGoogleマップと重ねてもずれないので、過去の事例では能登半島地震の際は3回の観測で能登半島全域をカバーすることができました。さらに、SAR衛星は自身で電波(マイクロ波)を対象物に照射し、その反射を観測するため、太陽光を必要としません。そのため、雲の有無に関わらず、昼夜を問わず全天候で地表の撮像が可能です。 もう一つの強みは、SAR衛星から得たデータを、お客様の特殊な要望に応じて解析し、ソリューションとして提供できることです。単にデータを渡すだけでなく、現場の課題やニーズを直接伺い、それに合わせた形で提供しています。こうしたユーザー接点を持ち、衛星からソリューションまで一貫して提供できる企業は、世界でも珍しい存在なんです。さらに最近では、JAXAの「だいち4号(ALOS-4)」のデータサービス事業者としても選定され、自社衛星データとの組み合わせで新たなシナジーを創出しています。

参入障壁の高さは何が原因でしょうか?

森岡:小型SAR衛星を量産している会社は、世界でも5社ほどしかありません。参入障壁が高い理由は2つあります。

1つ目はテクノロジーの難しさです。SAR衛星は光学衛星に比べ、アンテナ構造や信号処理が格段に複雑で、設計・試験・運用すべてに高度な技術が求められます。

2つ目はキャッシュフローの長期性です。開発から投資を回収するにも時間がかかります。弊社は資金調達とIPOにより現在の体制を維持できていますが、JAXA基金や政府の支援も支えになっています。長期的な資金と信用力の確保は不可欠です。

工場の現状と量産体制について教えてください。

森岡:神奈川県大和市に自社工場があります。衛星専業のベンチャーで、量産を前提に自社工場を持っているのは珍しいと思います。年内に新世代設計の2機を打ち上げる予定です。工場では設計から組立、試験まで一貫して行える体制を整えており、現場と設計が密に連携しながら進めています。

内山:今は年産6基のペースですが、来年には年産12基を目指しています。量産化に向けて、現在は実証機から工業製品への移行フェーズにあります。その中で特に、製造技術や品質保証・品質管理の体制を強化しているんです。うちの部門だけでも過去1年で10数名を採用しており、これは大きな成果です。今後も積極的に採用を継続していく予定です。

森岡:我々の製造能力を増やすには、パートナー企業のキャパシティを増やすことも必要です。現状はまだまだ労働集約型なので、生産能力向上のための自動化や設備治具拡充には計画的な取組みが必要ですし、パートナー企業のキャパシティや計画としっかりすり合わせしていくことが大切です。そうした協力関係を広げながら、その中で、運用中の衛星を徐々に新しいモデルに置き換え、技術を更新し続ける世代交代を継続的に行い、「止まることが許されない」体制を維持し続けていきます。

最後にエンジニアへの期待、メッセージをお願いします。

森岡:衛星製造はまだ人の手に頼る部分が多く、設計段階から「どう作れば効率的か」を考える製造技術者や、自動化を進められるエンジニアを必要としています。弊社には自動車や精密機器など異業種からの転職者も多く、その経験が大いに活きています。社員の6〜7割は宇宙や衛星について未経験で入社していますが、1〜2年で重要な戦力になっています。

内山:私も異業種出身ですが、宇宙と聞くと特別に感じるかもしれません。でもものづくりの基本は同じです。「宇宙なんて無理」と思わず、生活の延長にある仕事として挑戦していただければ嬉しいです。

森岡:私も、最初は「宇宙って何?人工衛星って何?」というところから始まりました。それまでは、例えば電子デバイスや半導体、テレビなど電化製品などいろいろなモノづくりに関わってきましたが、宇宙に関係するのは初めてでした。しかし、宇宙に打ち上げるモノでもその延長線として捉えて取り組めるところがモノづくりの面白さだと実感しています。宇宙を知らない自分なんてなどと思わずに、モノづくりが大好きな人はぜひチャレンジしてもらいたいと思います。

企業情報

会社名株式会社Synspective
代表者代表取締役 CEO新井 元行
拠点東京都江東区三好3-10-3
事業開始2018年2月22日
事業内容・SAR画像データ販売・衛星データを利用したソリューションサービス
・小型SAR衛星の開発・運用

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誰もが宇宙で生活できる世界を実現する

株式会社ElevationSpace
代表取締役CEO 小林 稜平様 インタビュー

宇宙というテーマには、どのように出逢われたのでしょうか?

小林:私は秋田出身で、中学1年生のときに東日本大震災を経験しました。そのとき、震災や災害に強い街づくりをしたいと考えたことがきっかけで、高専では建築分野を選びました。高専5年生の頃、東北大学への編入が決まっていたのですが、新しいことを学びたいという思いがあり、次に取り組むテーマを模索していました。そんな中で偶然出会ったのが、これまで考えたこともなかった「宇宙建築」という世界でした。

宇宙建築というのは、宇宙ステーションや月面基地のように、地球外で人が活動するための構造物を指しています。研究を進める傍ら、国内のコンペティション「宇宙建築賞」に応募し、最優秀賞を受賞したこともあります。宇宙建築に取り組む中では、単なる建物の設計だけではなく、ロケットなどの移動手段、食料や電力の確保、滞在期間など、エコシステム全体を考えるということ、つまり、「人が宇宙で生活できる世界を実現する」ということに重きを置いていました。作りたい世界から逆算し、次に何が足りないのかを考えていく中で、最も重要だと思ったのが「宇宙で実験・実証を行い、その結果を地球に還元するためのプラットフォーム」でした。そこから現在の事業にたどり着きましたね。

私は人生をかけてこの会社を成長させていきたいと考えていますし、30年、40年という長期的なスパンで事業を見据えられることは、私の若さが持つメリットの一つだと感じています。

向き合っている課題はどのようなものですか?

小林:一つ目の課題は、人が宇宙で生活することを考えたとき、無重力環境をどのように活用するか、また宇宙環境がもたらす影響をどう理解するかという点です。それ故に、宇宙での研究開発や製造分野の取り組みを加速させることが重要なテーマだと考えています。

もう一つの課題は、地球と宇宙の産業をつなぐためには、行くだけでなく「戻ってくること」が不可欠であるということです。人が宇宙に行って帰ってくることはもちろんですが、宇宙で生まれた成果を地球に持ち帰り、還元することが大切です。これまでは国が国際宇宙ステーション(ISS)というプラットフォームを運営してきましたが、その運用が終了し、2030年には民間に移行するというタイミングを迎えています。

ElevationSpaceを立ち上げた2021年当時、競合と呼べる企業はほとんど存在しませんでした。しかし、このトランジションのタイミングで、世界中で競合企業が一気に増えてきたという印象があります。

その中で貴社のテクノロジーにおける強みとはなんでしょうか?

小林:弊社のコア技術は、宇宙から地球に戻ってくる「再突入技術」にあります。主に5つの技術で構成されており、それぞれが重要な役割を担っています。

・衛星のバスシステム技術
・軌道上の衛星を減速させるエンジン技術
・大気圏突入時に燃え尽きない耐熱技術
・パラシュートなどを活用し、海上で安全に回収する技術
・回収した衛星を再利用する技術

また、私たちは現在の領域にとどまらず、日本初の有人宇宙船の開発を目指しています。弊社の最大の強みは「戻ってくる技術」だけではなく、エンジン開発も手がけ、宇宙に行った後のモビリティサービスを提供しようとしている点です。人工衛星は、宇宙に到達した後が本格的な運用のスタートになるので、真空や高放射線などの宇宙環境に耐えられる高い品質とスペックが求められます。例えば、ロケットは大気環境で製造されるのに対し、衛星はクリーンルーム内で製造されるなど、厳格な品質管理が必要です。私たちは、このようなロケットの先のモビリティという高度な技術に挑戦し続けています。

さらに、私たちは、東北大学学際科学フロンティア研究所と共同で、安全性と経済性を維持しながら高い推力を実現する小型衛星用スラスタの実用化に向けた研究を進めています。
世界初の宇宙実証を目指し、小型衛星の地球帰還を可能にする “ハイブリッドスラスタ” の開発に取り組んでいます。JAXAの協力のもと、実機に近い試験モデルによる長時間燃焼試験や、真空環境下での軌道離脱相当の推力計測にも成功し、これについてはプレスリリースを発表しています。ぜひご覧いただけると嬉しいです。

宇宙業界に興味を持っているエンジニアの方々へのメッセージをお願いします。

小林:私たちは、宇宙へ行った後の交通網を構築することに取り組んでいます。

中でも一番のポイントと言えるのは、本気で有人宇宙船を開発しようとしているということでしょうか。それをやりたくて入ってきたエンジニアの方も少なくありません。そのためにまずは無人での帰還技術を確立するところからスタートしています。

実は、小惑星探査機「はやぶさ」やHTV搭載小型回収カプセル「HSRC」のように、小型カプセルを制御しながら高精度に地球に戻す技術は、日本が世界最先端の強みを持つ分野の一つです。この技術は今後、グローバルに通用する事業へと成長していくと考えています。

私たちは「衛星を自分たちで作る」という強い思想を持っています。一般的な衛星メーカーでは、エンジンを外部から購入することも多いのですが、それでは細かな改良が難しくなるんです。その点、私たちは耐熱材料、エンジン、電気系すべてを自社で開発しており、ものづくりに徹底的にこだわる会社です。その分、難しいことやチャレンジングな要素も多いですが、それを楽しめる方にぜひ加わっていただきたいと考えています。

企業情報

会社名株式会社ElevationSpace
代表者代表取締役CEO 小林 稜平
拠点〒980-0013 宮城県仙台市青葉区花京院2-1-65 いちご花京院ビル9階
事業開始2021年
事業内容宇宙環境利用・回収プラットフォーム事業、宇宙輸送事業、宇宙建築事業

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